Tylecodon nolteei
チレコドン・ノルテーイ
幻想的な美しい葉を持った超小型種、チレコドン・ノルテーイ
南アフリカ - 西ケープ州ヌーヴェラス(Nuwerus)近郊が原産です。
標高350-470mの範囲の砂岩や頁岩で形成された岩場の割れ目や小さな窪みに自生しています。
種小名の \'nolteei\' は、南アフリカに在住するオランダ生まれの園芸家、フラン・ノルテー氏(Mr. Frans Noltee)の名をとって命名されました。
2001年に多肉植物界の大御所、ジョン・ジェイコブ・ラブラノス氏(Mr. John Jacob Lavranos)の手によって新種として記載されたチレコドンです。
現状、ヌーヴェラス近郊の2箇所でのみ自生が確認されている希少な種でもあります。
成熟した株でも株の直径3-5cmほどにしか成長しない超小型種です。
いびつな形状をした塊茎を持ち、その塊茎を岩の割れ目に食い込ませるようにして自生しているそうです。
塊茎からは葉柄のない多肉質の葉を塊茎に張り付くように展開します。
チレコドン・ノルテーイの最大の特徴はこの葉にあります。
緑色をした葉の表面には赤味を帯びた不規則な模様が入り、葉全体から白っぽい微毛をびっしりと生やします。
楕円形をした肉厚の葉は1-2cmほどの大きさしかありませんが、なかなか他種では見ることができない美しさを持っています。
なお、葉の模様は個体によって濃淡がありますが、日光に当たるほど鮮明に出る傾向があります。
成長期を過ぎ、葉が落葉したころになると1-3cmほどの短い花柄を伸ばし、淡いピンク色からクリーム色をした円筒状の花を咲かせます。
超小型種の宿命とも言えますが成長は極めて遅く、葉もなかなか数を増えてくれません。
豪快さや派手な見た目は持ち合わせていませんが、虫メガネを使ってじっくり観察したくなる通好みの種です。
【サイズ】
株全体幅:約3.3cm
【科・属】
Crassulaceae Tylecodon
ベンケイソウ科チレコドン属
【原産地】
南アフリカ - 西ケープ州ヌーヴェラス(Nuwerus)
【置き場所】
成長期である秋から春にかけては、日光のあたる明るい場所で管理します。
チレコドン・ノルテーイは日光を好みます。
日光が不足するとチレコドン・ノルテーイの特徴である葉の模様が薄くなったり、株の腐敗を誘発する場合があります。
ただし活着前の株や調子の悪い株などは長時間直射日光に当てると株の体力が消耗することがあります。
そのような株を管理する場合はわずかに遮光した環境で管理してください。
なお、遮光する場合でも日照時間はなるべく長くとるようにしてください。
気温が上がり、葉が脱落し休眠に入り始めてからは適度に遮光した涼しい棚上などで管理します。
【水やり】
成長期である秋と春は、用土がある程度乾いてから水やりします。
チレコドン・ノルテーイは過度な水やりは厳禁ですが、小型種であるため、あまり水を切りすぎると葉が萎びる場合があります。
本種は涼しい季節を好む冬型種ですが、厳冬期は活動が鈍ります。
水やりする際は好天の続く、暖かい日を狙って水やりしましょう。
春から初夏にかけ、葉が落ち始めたころから徐々に水を控え、休眠から目覚めるまでは断水気味に管理します。
チレコドン・ノルテーイのような超小型種は、体内に貯水できる水分が少なく、数か月に渡る断水で枯死する場合があります。
自然環境下では雨の降らない休眠期も適度な霧や水滴で生きながらえていると推測できますが、用土の量も少なく、何もかもが異なる環境で育てる際は休眠期もごく少量の水やりで細根や株の枯死が防げます。
休眠期に水やりする際は、用土の表面を軽く湿らせたり株全体に軽くシリンジする程度にしましょう。
また、水やりは気温の下がる涼しい夕方以降に風通しのよい場所で行ってください。
高温下では蒸れによる根腐れを誘発するリスクが高いため、慎重に行いましょう。
気温が下がり涼しくなってくると徐々に葉が芽吹きだしてきますので、その頃から少しづつ水やりを開始します。
その際もいきなりたくさん水をあげると腐りやすいので注意しましょう。
【肥料】
成長期の初秋や春に数度、微量元素が不足しない程度に薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質肥料や、緩効性の化成肥料を少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
チレコドン・ノルテーイは涼しい季節に成長する冬型植物です。
ただし極端な寒さは嫌うため、最低気温が5度を切るような場合は夜間は屋内で管理した方が安全です。
また活着前の株や小さな株も耐寒性がやや劣るため、十分に根が春までは適度に暖かい環境で管理しましょう。
寒さよりも夏の蒸し暑さに気をつけ、気温の高い季節は涼しい場所で管理しましょう。