Aloe suzannae
アロエ・スザンナエ
孤高の巨大アロエ、アロエ・スザンナエ
マダガスカル - トゥリアラ州南西に位置するアッチモ=アンドレファナ行政区内のアンカズアブ(Ankazoabo)、イタンポロ(Itampolo)、アンドロカ(Androka)のみが原産です。
沿岸に近い砂質土壌のディディエレア属の乾性林や、大きな岩の割れ目に溜まった土壌などに自生しています。
種小名の 'suzannae' は、19世紀にマダガスカルの博学研究を行ったフランスの博物学者、“レイモンド・デカリー”(Raymond Decary)の娘、スザンヌ(Suzanne)の名をとって命名されました。
マダガスカル島に自生するアロエの最大種で、英名では 'Malagasy Tree Aloe '(マダガスカルのツリーアロエ)と呼ばれています。
成熟した株は一般的には高さ3.5-4m、最大で5mを超えることもあるようです。
株が小さなうちはアロエらしいロゼット形をしていますが、株の成長に伴い木質の太い幹を形成し、上に向かって伸びていきます。
サンドベージュの厚い表皮に覆われた幹は直径18-25cmほどの太さにまで育ちます。
なお南アフリカに自生する多くのツリーアロエはある程度育つと分岐し始めますが、アロエ・スザンナエは単幹で育つことが多く、めったに幹は分岐しません。
アロエ・スザンナエはアロエらしい多肉質の葉を生やしますが、成長過程によって葉の生え方が異なるのが本種の特徴です。
幼苗のうちは葉は上にむかって直立するように互生に生え、ちょうど掌を合わせたような形状をしています。
また成株に比べて葉の色も緑色が濃く、黒っぽい色をしています。
ある程度成長してくると葉は四方八方へ放射状に生え、株もアロエらしいロゼット形となってきます。
そして幹が形成されてくるにつれ葉の色は美しいシルバーがかったエメラルドグリーンへ変化します。
葉は最大で80-100cmほどの長さにまで伸びます。
葉の先端はヘラのように丸く、葉のフチに生えるトゲも葉の内側に向かって生えるうえ、大して鋭くもないため、厳ついトゲや葉を持った種が多いアロエ属の中では安全な種といえます。
成熟した株になると総状花序の黄色い花を咲かせますが、開花するまでには少なくとも数十年以上は経過しないと開花しません。
またアロエ・スザンナエはめったに開花することはなく、一度開花すると次の開花まで3年から10数年はかかるようです。
小さな株から数十年育てても花を見れる機会は数回もなさそうですね。
成長はとても遅く、幹立ちの株となるまでには10年以上の年月が必要です。
かつて(数十年前まで)アロエ・スザンナエはトゥリアラ州全土に広く分布していたようですが、現在は前述の3つの地域でのみ自生が確認されています。
近年になって大規模に開発されたサイザル麻農場のために多くが焼き払われ、現在では野生の株は多くて数百株、現実的には数十株から未満と見られています。
大型種故に人間の目にも止まりやすく、成長も遅いため、種の回復は非常に難しいのが現状のようです。
そのため、絶滅の危機が最も高いアロエの一つとされています。
基本的には種から増やすことしかできませんが、実生の小苗がまれに出回るため、もし入手された方は大事に育ててあげてください。
【サイズ】
株高:約40cm
【科・属】
Liliaceae Aloe
ユリ科アロエ属
※アロエ科(Aloaceae)とする場合もある
【原産地】
マダガスカル - トゥリアラ州アッチモ=アンドレファナ行政区
【置き場所】
年間を通して直射日光の長時間当たる場所で管理します。
アロエ・スザンナエは日光を非常に好みます。
日光が不足すると幹や葉が徒長し、間延びした株となりがちです。
可能な限り長い時間直射日光に当て、幹が太く詰まった株に成長するよう栽培しましょう。
アロエ・スザンナエは風通しの悪い環境を嫌います。
蒸した温室内や締め切った室内で管理すると根腐れや害虫の発生を誘発します。
なるべく風通しの良い場所で管理し、屋内で管理する場合もシーリングファンや扇風機で風を送るように工夫してください。
【水やり】
アロエ・スザンナエは気温の高い季節に成長します。
成長期は用土がしっかり乾燥してから水やりしてください。
本種は過湿を嫌います。
また、水やりが多いと株姿が乱れたり、茎が徒長しやすくなります。
成長はゆっくりとなりますが、本種は水やりは控えめの方が締まった株姿となります。
気温が下がり、新しい葉の展開が止まり始めるころから徐々に水やりを控え、翌春まで断水気味に管理します。
ただし休眠中も月に数回、軽く用土を湿らせると細かい根が完全に枯死することが防げ、翌春以降の立ち上がりが良い場合があります。
寒い時期に水やりする場合は好天の続く気温が高い日を狙って午前中にごく少量の水やりし、気温の下がる夜間までにはほぼ乾いている程度にしましょう。
春になると葉が徐々に展開し始めますが、いきなり沢山水やりせず、少しづつ水やりの回数と量を増やしていきましょう。
【肥料】
成長期に数回、ごく薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質肥料や、緩効性の化成肥料をごく少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
アロエ・スザンナエは暖かい気温を好みます。
可能なかぎり暖かい場所で管理しましょう。
断水に近い状態で、日中に温度が上がり植物や用土がしっかり温められる場合は、ある程度の低温に耐えることができます。
その場合でも5度以下には下がらないように注意してください。