Pachypodium baronii
パキポディウム・バロニー
真っ赤な花を咲かせるバロニー
マダガスカル北西部 - マハジャンガ州のベファンドリアナ(Befandriana-Nord)から、マンドリツァラ(Mandritsara)にかけてが原産で、標高の低い乾燥林の痩せた土壌や、岩の上に自生しています。
種小名の 'baronii' は、20世紀初頭にマダガスカルの植物分類学に多大な貢献をしたロンドン出身の宣教師、リチャード・バーロン牧師(Richard Baron)にちなんで命名されました。
パキポディウム・バロニーは、1907年にパキポディウム属として最初に記載された古くから知られる種でもあります。
ちなみにバロニーの自生している地域に暮らすツィミヘティ族の間では 'Bontaka' という名称で呼ばれているようです。
太く大きなトゲと、トックリ状に膨らむ幹が特徴で、大きく成長すると幹が肥大し丸い壺のような見た目に成長します。
パキポディウム属の仲間は小さなうちはどの種も似たような見た目をしていますが、パキポディウム・バロニーは子株のうちから大きなトゲをもち、比較的簡単に判別できます。
また、茶褐色のシワが入ったような表皮もバロニーの特徴の一つ。同属の 'Pachypodium rosulatum var.gracilius'(象牙宮)や、 'Pachypodium rosulatum var. inopinatum'(パキポディウム・イノピナツム)のようなツルっとした表皮をした種も魅力的ですが、バロニーのいかにも年季が入ったような味のある表皮も渋い魅力があります。
成長点付近の枝の先端にはトゲが密集しており、そこからツヤのある、濃いダークグリーンの葉を生やします。
厚みのある葉っぱは、どことなく皮革製品を思わせる質感。
パキポディウム・バロニーの最大の特徴はパキポディウム属の中でも珍しい深紅の花です。
目も覚めるような赤い花弁は、異様な樹形の見た目と相まって、この種の魅力を最大に引き出しています。
よく似た見た目の種に、'Pachypodium baronii var. windsorii'(パキポディウム・ウィンゾリー)という種がいますが、樹形や花の形状に違いがあるため、比較的見分けるのは容易です。
難点といえば、パキポディウム・バロニーの自生地は、マダガスカルの中でもかなり温暖な地域なので寒さに弱いところ。
また流通量が極端に少なく、国内に出回ることがほとんどないので、手に入れた方は大事に育てて下さい。
【サイズ】
幹径:約φ4cm
株高:約30cm(葉含む)
【科・属】
Apocynaceae Pachypodium
キョウチクトウ科パキポディウム属
【原産地】
マダガスカル - マハジャンガ州 ベファンドリアナ(Befandriana-Nord)からマンドリツァラ(Mandritsara)
【置き場所】
一年を通して直射日光のよくあたる場所で管理します。
パキポディウムの仲間を栽培する上で日光はとても重要です。
日光が不足すると幹や枝が徒長しやすくなり、日光不足の状態で長時間栽培すると根腐れを起こしたり、株の内部から腐敗しやすくなります。
特にパキポディウム・バロニーは寒さに弱いので、冬場でも日光のよく当たる場所で管理し、寒さに当てないようにしましょう。
また、風通しの悪い場所ではカイガラムシが発生しやすくなります。
硬く締まった株に育てるためにも日当たりや風通しには特に注意しましょう。
【水やり】
成長期の夏は土が乾いたらたっぷりと水やりします。
直射日光の当たる場所では真夏は毎日水やりしても問題ありません。むしろ梅雨明け以降は雨ざらしにし、雨風に当てた方が調子よく育ちます。
秋に入り涼しくなってきたら徐々に水やりの回数と量を減らし、葉が落ち始めた頃から春までは完全に断水します。
春になると葉や花芽が徐々に展開し始めますが、いきなり沢山水やりせず、少しづつ水やりの回数と量を増やしていきます。
梅雨が明けるまでは、土が完全に乾いて数日おいてから天気の良い日に水やりするようにします。
【肥料】
成長期の夏に薄めた液肥を与えます。
用土によく醗酵した有機質肥料や、マグァンプKなどの緩効性肥料をごく少量混ぜ込んでおいても良いと思います。
【適温】
パキポディウム・バロニーはパキポディウムの中でも最も寒さに弱いので、冬は暖かいところで管理します。
葉を落とした後の休眠期も、表皮の下の葉緑素で光合成を行って寒さに対する体力を静かにつけています。
休眠中もなるべく日光にあて、日中に鉢内と植物自体の温度を上げると耐寒性も増します。